
DXの初月に必要なのは、全社システムの選定ではなく「一つの課題を、現状値つきで説明し、小さな改善を試せる状態」にすることです。以下の30日計画は、日報・見積・集計・検査記録などの間接業務を対象にしています。

経営側は「残業を減らす」のような抽象目標ではなく、納期回答、見積リードタイム、入力漏れなど、改善したい業務結果を決めます。現場側から実務責任者を一人、管理側から意思決定者を一人置きます。
この期間の成果物は、目的、対象部署、責任者、使える時間、判断日を一枚にまとめた着手票です。
担当者への聞き取りだけでなく、実際の帳票、Excel、フォルダ、メール、承認経路を確認します。1件あたりの処理時間、月間件数、差戻し、検索時間を測り、手順の例外も記録します。
「入力者が悪い」「Excelが古い」のように人や道具を原因にせず、どの地点で情報が止まり、重複し、不足するのかを特定します。
候補ごとに、効果、実現難易度、現場負荷、データの入手性を5段階で評価します。初回は効果が最大のテーマよりも、4週間以内に結果を比べられるテーマを優先します。
例として、全工場の生産管理刷新ではなく「第一工程の日報入力と日次集計」、見積AIの全面導入ではなく「過去見積の検索時間短縮」に範囲を絞ります。
画面は必要最小限にし、実データに似せた検証用データで入力から出力まで通します。現場の代表者に触ってもらい、入力しにくい項目、権限、エラー、通信停止時の扱いを確認します。
試作の目的は完成品を作ることではなく、仮説の誤りを早く見つけることです。追加要望は「今回の合格に必要」「次の改善」「不要」に分けます。
一班・一週間など範囲を限定して運用し、導入前と同じ方法で測ります。入力率が低い場合、効果だけを見ず、項目数、入力場所、端末、教育、通信環境を見直します。
30日目には、継続、修正して再検証、中止のいずれかを決めます。中止も、前提の誤りを小さな費用で発見できたなら有効な結果です。
| 期間 | 主な活動 | 完了条件 |
|---|---|---|
| 1〜5日 | 目的・体制決定 | 着手票を承認 |
| 6〜10日 | 観察・計測 | 現状値と業務フローを記録 |
| 11〜15日 | 優先順位付け | 一テーマ、一工程へ限定 |
| 16〜23日 | 試作・レビュー | 入力から出力まで検証 |
| 24〜29日 | 小規模運用 | 現状と同じ指標を測定 |
| 30日 | 判定 | 継続・修正・中止を決定 |
30日計画を自社業務へ落とし込みたい場合は、製造業DX支援と現状整理の相談窓口をご利用ください。
